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ゼロの使い魔の二次創作スレ、及びまとめへのリンク あの作品のキャラがルイズに召喚させました 多重クロス。本スレの100スレ突破記念企画です http //noname.mydisk.jp/aniversary/anniversary.html ゼロの奇妙な使い魔 まとめ ジョジョの奇妙な冒険全般 http //www22.atwiki.jp/familiar_spirit/ 新世紀エヴァンゲリオン×ゼロの使い魔 ~想いは時を越えて~@ ウィキ 新世紀エヴァンゲリオンの碇シンジとエヴァンゲリオン初号機 http //www10.atwiki.jp/moshinomatome/ ベイダー卿がゼロのルイズに召喚されたようです @ ウィキ STAR WARSのダース・ベイダー http //www33.atwiki.jp/darthvader/ ハガレンのエドがルイズに召還されたようです@まとめサイト 鋼の錬金術師のエド http //www34.atwiki.jp/fgthomas/ ゼロの傭兵 フルメタル・パニック!の相良宗介 http //www31.atwiki.jp/zeronosousuke/ ゼロの保管庫 Wiki 【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合のSSまとめページ。成人向け注意 http //zerokan.g.ribbon.to/ ゼロ使×型月クロスSSスレまとめwiki TYPE-MOON http //www13.atwiki.jp/zeromoon/pages/1.html ガンダムキャラがルイズに召喚されました@ウィキ http //www8.atwiki.jp/gundamzero/pages/1.html ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ http //www33.atwiki.jp/dai_zero/ イチローがルイズによって召喚されたようです@wiki メジャーリーグの(伝説化した)イチロー http //www39.atwiki.jp/ichiro-ruiz/ 社長がゼロの使い魔の世界に召喚されたようです@ ウィキ 海馬瀬人社長と嫁達(および一部の科学の結晶) http //www30.atwiki.jp/shachozero/ 謙虚な使い魔@wiki FF11(ネ実)キャラのブロントさん http //www40.atwiki.jp/kenkyotsukaima/ もしゼロの使い魔の○○が××だったら まとめwiki (非クロスオーバー) http //ifzero2.herobo.com/
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前ページ次ページ虚無の魔術師と黒蟻の使い魔 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。 このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」 使い魔召喚の儀の翌日。最初の授業の冒頭に教壇に立つ教師は、そう言った。 (あちゃー。言っちゃった) キュルケは心の中でで舌打ちした。 シュヴルーズの浅慮に対してである。 この言葉は導火線に火を点けたようなものだ。まわりまわって昨日のルイズの召喚の結果を笑いものにするような流れになるだろう。 形としてはドミノ倒しの最初の一枚目を倒したと喩えるほうが相応しいのだろうが、繋がっている先が爆弾なのだから、やはり導火線だ。 (男子生徒。あの太った……なんて名前だっけ? まぁ、あのあたりね) 「おい。ゼロのルイズ。ちゃんとあの使い魔は連れてきたのか?」 キュルケの思ったとおり、マリコルヌがルイズを冷やかす。 (そしたら今度はギーシュあたりが合いの手入れて……) 「おいおいマリコルヌ。正確に言いたまえよ。『連れてくる』じゃなくて『持ってくる』だろう?」 やはりキュルケの思ったとおりに、ギーシュがマリコルヌにあわせる。 (ホント、男って単純。それでルイズが輪をかけて単純だから、あと二・三言、何か言われたところでドカン!ね。あの先生、どうもルイズの爆発に対して危機感が足りないんじゃないかしら。爆発する前に止めてくれればいいんだけど) キュルケはそんなことを思いながら、何時でも机の中に潜れるように体勢を整える。 「そうだなギーシュ。だけど『持ってくる』よりもっと相応しい言葉があるよ」 (はい、カウントダウーン。さーん) 「ん? なんだい?」 (にーい) 「そこらへんに幾らでも落ちてるんだ。『拾ってくる』だろ?」 (いーち) 「「あはははは!!」」 (はいゼロ) キュルケは急いで机の下に潜ろうとするが、そこでルイズの様子がいつもと違うことに気がついた。 普段だったら凄い剣幕で席を立ち上がり、ギャーギャー騒いだ上であの二人に杖を向けてるだろうに、今日のルイズは悔しさをかみ締めたような顔で席に座ったままだ。 (あの子、少し変わったのかしら? でも言われるままなんてのもつまらないじゃない) 爆発されたら迷惑だなどと思っておきながら、ルイズが怒りを堪えたら堪えたで不満に思うキュルケ。 自分は男子生徒のような品のない茶化し方はしないと思っていても、キュルケ自身もルイズを茶化してその反応を楽しむのが好きなのだ。 それがあの有様では張り合いがないではないか。 「あー、でもそこらへんの石じゃ駄目じゃないか、マリコルヌ。あの板状の石だからいいんだろ」 「え? ん? あぁ、そうか! あの平面がいいんだな! まっ平らなところが使い魔と主でおそろいなのか!」 だん! ルイズが机をたたき立ち上がった。 「あ、あんた達覚悟はできてるんでしょうね」 ルイズは震える右手で杖を握り締め、怒りのあまり左のまぶたがぴくぴくと痙攣している。 (まぁ、そう簡単に人は変わらないわよね) 「あなた達! クラスメイトの悪口で盛り上がるとは何事ですか!」 ここでやっとシュヴルースがギーシュたちを諌める。 赤土を口に詰め込まれ苦しむギーシュとマリコルヌを見て、どうやらルイズの怒りは収まったらしい。 (まったく遅いわよ。普段だったら一つ前のタイミングでドカン!だったわ。ことなきを得たからいいけど、爆発物はもうちょっと気をつけて扱ってもらわないと) やれやれといった感じでため息をつくキュルケ。そこに信じられない言葉が飛んでくる。 「ではミス・ヴァリエール。せっかく立ち上がっているのだし、前に出て錬金の実演をしてもらいましょうか」 キュルケは思わず隣に座る親友のタバサを見る。タバサはまさに机の下に潜ろうとするところだ。 「聞き間違いってわけじゃないのね」 コクリ。キュルケの言葉にうなずくタバサ。 あわててキュルケも机の下に潜り込む。 「百聞は一見にしかず」 タバサのぼそりと呟く。 「そうね。実際に一度目の前でルイズの爆発を見れば、あの先生もルイズの扱いを覚えるでし―――」 ドォン! と爆音が鳴り、キュルケの言葉は途中で遮られた。 キュルケは机から恐る恐る顔を出し、被害状況を確認すると立ち上がる。 「見るだけでは済まないわよね、あの位置じゃ。まぁ、解りきった一年の復習なんてつまらない授業がつぶれたんだから良し、ね」 教壇には煤にまみれたシュヴルースが転がっていた。 「ひょっとしたらって思ったんだけどなぁ……」 ルイズは教室の片づけをしながら一人ごちた。 ルイズの爆発を受けたシュヴルースが、その意識を手放す前に、ルイズに爆発の後始末を命じたのだ。 破損した机などを運ぶのはルイズにはかなりの重労働であるが、片付けないことには授業への参加を許されない。 乗馬を得意とし、学院の女生徒の中では比較的体力のあるルイズではあるが、所詮は貴族の娘の中での話である。肉体労働には身体的にも精神的にも向いていない。 少し片付けては、休憩、愚痴の繰り返し。まだまだ先は長い。 (サモンサーヴァントはともかく、コントラクトサーヴァントは問題なく成功したのに……) サモンサーヴァントはモッカニアの『本』を呼び出したとはいえ、爆発も同時に起こっていたので成功と言えるかは微妙だ。だが、コントラクトサーヴァントは爆発も起こらず、きちんとルーンが刻まれたのだ。 それならばと、今までとは違う結果になると期待して錬金に挑んだのだが……。 ただ、ルイズの心の中が楽観で占められていたというわけでもない。 事実、朝、幾ら時間があっても魔法を試そうとは思わなかった。本当に魔法が使えるようになったのか、確かめるのが不安だったのだ。 シュヴルースに命じられることで、やっと踏ん切りをつけたのに、その結果がこれである。 (でも! でも、もうゼロじゃないんだから! 確かに魔法を成功させたんだからゼロではないわ。これから一杯練習すればきっとほかの魔法だって成功するんだから) 何とかポジティブな思考にもっていくルイズ。 こればかりはモッカニア本人ではなく、モッカニアの『本』が召喚されてよっかったと思う。 系統魔法とは別物とはいえ、魔法の才に溢れたモッカニア本人の前で醜態を晒したら、こんな精神状態ではいられないだろう。 モッカニアがどういう反応を見せるのか、想像もしたくない。そして間違いなくモッカニアの才を妬む自分。考えたくもない。 そして何より、モッカニアの才に嫉妬する自分をモッカニアに見られるということが受け入れ難い。 嫉妬というのは醜いものだ。 本音を言えば、ルイズは大いに嫉妬している。 難なく魔法を使うクラスメイトに。 突出した魔法の才能を持つ家族に。 そして、モッカニアに。 だからルイズは虚勢を張る。 幾ら魔法が失敗しようとも卑屈にはならない。貴族の誇りを大切にし、そして己を誇る。 魔法が使えないルイズが誇りを重んじる姿を、中身の伴わないプライドと陰口をたたく者がいることも知っている。 そして、ルイズが魔法を使える者に嫉妬していると、きっと皆そう思っているだろうとも思う。 だからと言って醜い己を晒すことは良しとできない。 ただモッカニアだけは別だ。 物言わぬ『本』となったモッカニア。 ルイズの醜さを見ることはなく。そしてルイズの醜さに何を思うこともない。 「私はあなたが羨ましくてならないわ。あなたの才能を少しでも分けて欲しいと思ってるのよ」 誰もいない教室でルイズはモッカニアの本に語りかける。 生前のモッカニアは、それこそ多くの者からその才能を妬まれただろう。 何せ、世界最強の一角だ。 世界最強の称号、当時のバントーラ図書館館長代行、ハミュッツ=メセタと並び称される実力。 嫉妬しないほうがおかしい。 ハルケギニアに生まれ育ったルイズにはいまいち理解しがたいが、モッカニアの世界では魔法と同じぐらい体術も重要視される。 そんな中、魔術ならモッカニア、体術ならハミュッツとまで言われるのだ。 「でもいつかあなたの主として相応しいぐらいのメイジになって見せるんだから!」 ルイズはモッカニアに、そして己に宣言するように言う。 そして、 そして、決意も新たに教室の片付けに戻った。 (やっぱりめんどくさい……) 立派なメイジになるという決意は、教室の片付けにはこれっぽちも役に立たない。 少し片付けては休み、愚痴る。このサイクルでは終わらない。 ルイズは新たに片付けながら愚痴り、愚痴りながら休むというサイクルに変更する。 「何で、こんなこと、しなきゃ、なんないのよー!」 愚痴る。 「腰が……腰がぁ……」 愚痴る。 「こんなの平民の仕事でしょーにー!」 愚痴る。 「モッカニアの主に相応しいメイジになるって決意したそばから、何でこんなことしてるのかしら……」 愚痴る。 「モッカニアの主に相応しいのは片付け上手の女の子です……なんて……うふ、うふふふ」 少しやばいテンションで愚痴る。 「モッカニアの主に相応しいって。あれ?」 はたと何かに気づいたように手を止めるルイズ。 「普通……逆よね?」 なぜ使い魔召喚の儀式が行われるのは2年への昇級の直前なのか。 それは、召喚された使い魔によってそのメイジの属性を決め、それから各属性の専門的な授業を行うからである。 なぜ使い魔で属性が決まるのか。 それは「そのメイジに相応しい使い魔」が召喚されるからである。 今の今までそれを失念していた。 使い魔召喚の儀式は『属性を決めるための儀式』でもあるのだ。 そのメイジにどういった系統の才能があるのか。それを調べるための儀式なのだ。 満足に魔法の使えないルイズとモッカニアを実力で比すれば、主従として相応しいとはとてもいえない。 だがサモンサーヴァントで呼び出された以上、系統的には相応しい存在であるはずだ。 (モッカニアの系統が判れば、私の系統も判る! 系統が判れば、メイジとして一歩前進できるかもしれない!) 片付けの手を止め、ルイズはきれいな机のうえに腰掛ける。 そして巾着袋に入れて持ってきたモッカニアの『本』をひざの上に乗せ、真剣に考える。 ルイズの思考はすぐに壁にぶち当たる。 (私は一体何を召喚したのかしら?) 召喚されたのはモッカニアの『本』。 だが『モッカニア』を召喚したと考えるべきなのか、『本』を召喚したと考えるべきなのか。 『モッカニア』に注目するか、『本』に注目するか。それで話は随分変わってしまう。 (考え方としては3つね) まず『モッカニア』という要素を無視して『本』にのみ注目して、ひざの上の『本』を見る。 『本』。それは人間の魂の化石だ。 (1つ目の考え方……私は『化石』を召喚した) 化石ならば土だろう、とルイズは思う。 ルイズには化石がどういって作られるかといった知識はないので、地面から出てくるのだから土系統といった認識である。 実際、ほとんどの化石は骨や殻などの組織が鉱物に置き換わったものである。 化石としてみるなら土系統というのは間違っていないだろう。 (次。2つ目。私は『人間の魂』、いや、『人間』を召喚した) 『人間そのもの』か、『魂』か。その違いを無視していいのか、少し悩んだが、『魂』も結局人間の一部なのだから、人間として考えることにする。 (……駄目。ボツ。人間の系統なんて判るわけないじゃない。せいぜい、風じゃなさそうってレベルしか解らない。風のメイジの使い魔は、基本的に空を飛べる生き物だものね。他の火・水・土はどれも生活の中で使うし、逆にこれってのもないわ) (最後。3つ目。今度は今まで無視してきた『モッカニア』という要素。私は『モッカニア』を召喚した) 人間という種族ではなく、モッカニアという個人。モッカニアの個性から系統を割り出す。 それならば、モッカニアの魔法を踏まえるべきだろう。 聞いたこともない話だが、もしハルケギニアのメイジを召喚したとして、火系統のメイジを召喚したならやはり召喚者も火系統だろう。 (モッカニアの魔法……うーん、まぁ、土……かしらね? でも……) モッカニアの魔法は系統魔法ではない。 それを系統魔法の才能と直接繋げてしまっていいのだろうか。 (だけど、それじゃぁモッカニアは系統魔法を使わないから、私も属性はなしとでも言うの?) (そんなの認めないわ! それにモッカニアは系統魔法を知らないから使おうとしたこともないだけで、系統魔法の存在を知ってれば使える可能性だってあるわけよね) (それこそ逆に、逆に私が……) 「私がモッカニアの世界の魔法を使える、ってのも……アリなのかしら?」 思わず思考が口から漏れる。 ひざの上のモッカニアの『本』を見る。 「アリ……なのかしら」 ルイズはモッカニアの『本』を机の上に置くと立ち上がり、落ち着きなくぐるぐると歩き出す。 「いや、うん。ない。いや! アリ。まぁ、うん」 ルイズの顔は変ににやけている。 「アリ。まぁ、アレよ。うん。とりあえず、試してみるのは……アリ、なんじゃないかしら。いや、別に期待しているわけじゃないんだからね、うん」 そういって一人何度も頷くと、机に戻りモッカニアの石に触れる。 モッカニアの司書養成所時代の部分を読み、モッカニアの世界の魔法についておさらいする。 モッカニアの世界の魔法、『魔法権利』などとも呼ばれるそれは、ハルケギニアの系統魔法とは根本的に異なる。 系統魔法の場合。 例えば風の系統のメイジでトライアングルのクラスだったら、使える魔法はエアカッター、エア・ニードル、エア・ハンマー、ジャベリンなどなど。多少の個人差はあれど、系統とクラスで使える魔法はある程度共通している。 自分の系統の、自分のクラスより下の魔法は大体使えるものだし、他の系統の魔法も初歩的なものだったら使えたりと、魔法を修めれば修めただけ多くの魔法が使えるようになる。 魔法権利と比較した場合、系統魔法の特徴は、『既存の魔法を、いろいろ使える』というところだろう。 魔法権利は反対だ。 幾つもの魔法を使えるような者はほとんどいない。 魔法についてはエリートとも言える武装司書にも、実用に耐えるレベルの魔法はせいぜい2つか3つといった者がほとんどだ。 そして、系統魔法と違い既存の魔法を学ぶのではなく、新しい魔法を作り出すことこそが魔法権利の本分だろう。 もちろん既存の魔法が完全に軽んじられているわけではない。 武装司書の場合、強くないと勤まらない仕事なので『肉体強化』という超人的な身体能力を手に入れるためのの魔法を身につけることが必須である。程度の差はあれ、武装司書ならほぼ全員習得している。 だが一流の戦士は、その上で自分だけの固有の魔法権利を習得するのだ。 モッカニアは魔法に関して、決して器用なほうとはいえない。 『思考共有』という人の意識に直接言葉を届ける魔法がある。肉体強化のように武装司書として必須といまではいかないが、ある程度実に着けているものの多い魔法権利といえる。 一定以上のレベルに達しないと自分から思考を送ることはできないが、多少の素養があれば送られてきた思考に返事を返すことはできる。 自分から思考を送れる者は少ないが、それに返信をする程度の修練を積んだ者は武装司書の中には多くいる。 だが、モッカニアの場合は、自分から思考を送るのはおろか、思考を返すこともできない。 しかし、モッカニア固有の魔法権利。そのあまりにも強大な力によって最強と呼ばれているのだ。 魔法権利は魔術審議と呼ばれるものによって習得する。 魔術審議は、神の定めた世界の公理を書き換える手続きだ。 世界の公理。物が上から下に落ちる。鳥は空を飛ぶ。魚は海を泳ぐ。そういった世界の常識、世界の秩序。 それを一部書き換える。 それが魔法権利だ。 どれだけ世界の常識を変えられるか。それが魔法の強さである。 そのため、魔術審議は大人になり常識に凝り固まってしまうと成功しない。逆に、幼すぎると混沌に近寄りすぎて命を落としてしまう場合すらある。 司書養成所では13歳から魔術審議を始める。二十歳過ぎぐらいで新たな魔法権利の獲得が困難になる。 現在ルイズは16歳。 魔術審議を行うにはちょうどいい年齢だ。 ルイズは、椅子に楽な姿勢で座ると瞳を閉じ息を整える。 意識から外界を遮断し、己の内へ内へと意識を向ける。 今まで系統魔法を身に着けるために瞑想の類も幾度も試してみた経験からか。それともモッカニアの『本』で魔術審議をするモッカニアを己のことのように間近で見たからか。はたまた別の理由か。 意外にもすんなりとルイズの意識は奥へ奥へと向かっていく。 そしてモッカニアの『本』で覚えた魔術審議の文言を唱える。 (行くものは行かず、来るものは来ない。月は太陽。小鳥は魚。生者は骸。鋼鉄は朧。全ての現は夢にして、幻想は全ての現なり。あるものはなく、なきものはあり、万物を虚偽と定義して、これより、魔術審議を執り行う) 魔術審議が始まった。意識の最奥に分け入り、自らの意思で世界の公理を書き換える。 神の定めた世界の公理を侵食し、自らの望む形に作り変える。 (ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは黒蟻を生み出す) (ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは黒蟻を生み出し操る) (ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは黒蟻を生み出し意のままに操る) ルイズは心の中で唱えながら、自分が蟻を操る姿を強く想像する。強く、より精密に想像する。 モッカニアの魔法権利。それは蟻を生み出し操るというもの。 モッカニアの『本』のみによって魔法権利を知ったルイズは、特に意識するわけでもなく、自然とその魔法を選んでいた。 魔術審議が終了した。 世界の公理が変わった、ような気がした。 ルイズは一つ深呼吸をすると、右手のひらを上に向け、瞳を閉じ、意識を集中する。 「出て来てっ!」 そう言うと、ゆっくりとまぶたを開く。 徐々に世界が開ける。手首から少しずつ視線を上げていく。 ルイズの手のひらには、一匹の蟻がいた。 「はぁ~、そうよね。モッカニアを使い魔にしたからってそんな簡単にいかないわよね。なんというか、かめはめ波をまじめに練習する子供みたいだわ。あれ? 『かめはめ波』って何だったかしら。 まぁ、それに魔術審議って一年ぐらいかけてやっとできるようになるものみたいだし。まぁしかたないわよね……って、いるぅ!?」 ルイズにとって生まれて初めてのノリツッコミだった。 「え? うそ。ホント? ホントに? いる。確かにいるわ」 ルイズの手のひらには、通常の蟻と比べてはるかに大きな黒蟻がいる。その大きさはルイズの中指と同じぐらいだろうか。 「どど、ど、どーしよ、どーしよ。も、もう! 出てくるなら先に言ってって言ったじゃない! 私がハシバミ草嫌いだって知ってるのにご飯に入れるんだからー!」 ルイズは混乱のあまり意味のわからないことを口走っているが、自分が何を言っているのかすら解らず、右手に蟻を乗せたままうろうろと歩き回る。 「大体何よ、スバヤティって! そんなのあり痛ぁっ!!」 ルイズの奇行は突如手のひらに走った痛みによって止められた。 痛みに目を向けると黒蟻が噛み付いていた。 「痛っ! 放してっ! 放せ!」 するとルイズの言葉に反応したように、黒蟻は手のひらに噛み付いた顎を放す。そこから赤い血が溢れ出す。 痛みがルイズの頭を冷静にしていく。 ひとまず蟻を机の上に置き、ハンカチを傷口に押し当てる。 (でも、私の命令を聞いたわね。ほ、本当に魔法が成功したの? 落ち着くのよ、ルイズ。落ち着いて、もう一度確認よ。そうね……) ルイズはあたりを見渡すと、一つの命令を念じてみる。 すると蟻は机の上から移動しはじめる。床に降り、さらにそこから移動する。そしてルイズの爆発で生まれた机の小さな破片、ルイズの小指のつめほどの破片を持ち上げ、運び出した。 「ちゃんと命令を聞いた……。本当に本当なんだ……。それなら……」 ルイズはもう一度目を閉じると、再度蟻を生み出そうと意識を集中する。 しかし、今度は出てこない。だが、ルイズにはもう少しで出そうという感覚はある。 (もっと魔術審議をしないと、いっぺんに何匹も出すのは無理みたいね) 一匹の蟻を生み出し操る。最強といわれるモッカニアの魔法は勿論そんなものではない。 モッカニア本人であれば、この教室を埋め尽くすほどの蟻を平然と生み出すだろう。 しかも平面的に埋め尽くすのではない。立体的に埋め尽くしてしまう。 それが、モッカニアが閉じられた空間であれば疑いようもなく最強だと言われる所以である。 億を超え、兆という数の蟻を操るモッカニアに対し、一匹の蟻しか操れないルイズ。 比較するのも馬鹿らしいほどの差がそこにはある。 (でも、ちゃんと実力もモッカニアの主に相応しいところまで成長してやるんだからっ) そう改めて決意すると、初めて生み出した蟻を見る。 よたよたと破片を運ぶ蟻。 (まぁ、蟻は蟻よね。片付けの役には立たないわね……) (…………) (もうちょっと……) (あと少しでゴールよ!) 何時の間にか蟻の応援に夢中になっていた。 (でも、あれよね。結局私が何系統なのかはわからなかったわね) 蟻を応援しながらも、ふとそんなことを考えるルイズ。 (魔法権利が使えるから系統魔法は駄目とか、そういうのは却下。系統魔法もちゃんと使えるようになってやるんだからっ!) (両方使えれば最強よ! うん!) (でも、始祖の作った系統魔法じゃない魔法を使うのって……ひょっとして異端になるのかしら) (……あ、もうちょっとでゴールだ!) 「頑張って! もう少しよ!」 思わず声に出して応援してしまった、その時。 「随分時間がかかると思って見に来てみれば……」 ルイズの背後から声がかかった。 「ひゃぁああ! キュルケ!? いつからいたのよあんた!」 ルイズが驚き振り返ると、そこにいたのはキュルケだった。 「あら随分じゃない。あなた。もう昼休みだから、人が心配して見に来てあげたのに。こんなペースじゃ昼休み明けの授業も間に合わないわよ。 いざ見にきたらのんびり蟻さんの応援だなんて。まるっきり子供じゃない。魔法も使えないのに、授業も出ないじゃ今度こそ留年になるわよ」 キュルケの言葉に、ルイズはこの蟻が自分が魔法で生み出したものだと言おうとしたが、先程の異端扱いされるかもしれないという考えを思い出し、とどまった。 「う、うるさいわね! そこにいたら片づけができないから、どっか行きなさい!」 「片付けなんてしてなかったじゃない。『蟻さん頑張れ~』って。……それにしても何この蟻。大きすぎない? 気持ち悪い」 「大きいほうがいいじゃない!」 「何でそんなところに噛み付くのよ。まぁ、大きくて黒いってのは確かにいいことだけど。でも、やっぱり気持ち悪い」 言うとキュルケはブラウスの胸元から杖を取り出し、蟻に向ける。 それを見てルイズは慌てて、 「何する気よ!」 言うとキュルケの腕にしがみついた。 「何をするって、潰すのも気持ち悪いから焼き殺すのよ」 ルイズがどうして蟻に過剰に反応するのか理解できないキュルケは、怪訝な顔をしながらそう言い放った。 「出て行って」 普段の言い争いのときとは違う、低く押し殺した声がルイズの口から発せられた。 そこに強い怒りを感じ取れないほど鈍いキュルケではないが、何がルイズをここまで怒らせているのかわからない。 「蟻一匹でなに怒ってんのよ。こんな蟻を見てるからいつまでも片付かないんじゃない」 「出て行ってって言ってるの!」 今度は怒鳴った。 「…………」 キュルケは何も言わず退散することにした。 後少しでも踏み込めば。いや、後少しでもあの場に留まれば。間違いなくルイズは爆発していただろう。 「訳が解らないわ……」 キュルケがいなくなった教室で、ルイズは一人片づけを続ける。 蟻は魔法を解除すると消えてしまった。 『本』を読んで分かっていたことだが、この魔法は蟻を出している間はずっと魔法を発動させ続ける必要がある。逆に、魔法を発動し続ける限り、屍骸になっても蟻は存在し続ける。 せっかく手に入れたこの魔法権利。より深く知り、より強力なものにする必要がある。 ルイズはそう思いながら右手のひらを見る。 先程噛まれた傷の上にハンカチを巻いておいた。血は止まったようだが、今もずきずきと痛む。 (でもちょっと痛いだけだものね。攻撃魔法としてはぜんぜん役に立たないわ。「イタッ、虫だっ、ぺしっ」で終わっちゃうもの) 結局、黒蟻の魔法が最強なのではなくモッカニアが最強だということだ。モッカニアの桁外れの魔力によってこの魔法を最強足らしめているのだ。 (まだ攻撃魔法にはならないわね。モッカニアは羽蟻を使って偵察とかにも使ってたけど……) (攻撃手段としてこの魔法を使おうと思ったら……) (10匹? いや、もっと?) (そう簡単に振り落とせないような数……) (何匹も……一斉……に……) 急にルイズはしゃがみ込む。 そして手で口を押さえ苦しそうな表情を浮かべた。 吐き気がこみ上げ、喉元まで来ているのを、必死に押し戻そうとしているのだ。 暫くの間そうしていたが、やがて吐き気はおさまったのか、真っ青な顔で深呼吸をしている。 ルイズの思考が呼び水となり、今朝の夢を思い出してしまったのだ。 モッカニアの死。 自身の魔法を用いた自殺。 ルイズは疲れた顔で床に座り、己の右手を見る。まだずきずきと痛むその右手。 モッカニアには違う結末を選ぶだけの力はあった。だがそれを良しとしなかった。 違う結末を選ぶために力を振るうことを良しとしなかった。 力を持ち、強くなればできることが増える。選べる選択肢が増える。力のないもの、弱い者に多くの選択肢は与えられない。 強い者に多くの選択肢があるのは、弱いものから選択肢を奪うからだ。 モッカニアは善良だった。 「私は……」 ルイズは呟く。 「それでも私は……力が欲しいわ」 前ページ次ページ虚無の魔術師と黒蟻の使い魔
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光在る所に闇在り。 闇在る所に光在り。 それは人の世において断つ事の出来ない連鎖であり、回り巡る掟である。 世界もまたそれに然り。 太陽が空で輝き続けることは無く、闇夜がいつまでも蔓延る事も無い。 どんなに暗い夜だろうと、やがては朝は来る。 そこには一つの例外は無く、ハルケギニアにおいてもそうだった。 暗い空が薄れ、地平線の後ろまで来ている山吹色の光が闇夜と拮抗して赤紫の境界を縁取り、遂には光が世界を満たす。 隠れていた太陽が昇り、生き物達は動き始める。 清々しい朝だった。 やや冷たい空気を感じる者はのさばる眠気の残痕を緩やかに拭い取られ、陽光の暖かさに活力を貰うだろう。 だが、そんな朝の恩恵を受けていない者がいた。 ルイズだった。 昨日思わぬ出来事によって墜落した拍子に気絶してしまった彼女が目を覚ましたのは、日も落ちた夜の自分の部屋だった。 しばらくぼーっとしていたが、自分の召喚した使い魔の事とそいつが仕出かした事を思い出し、怒り狂って探しに部屋を飛び出した。 勿論ウェストに怒りの一発をくれてやる心算で。 だが結局見つかる事は無かった。 一応食堂でこれでもかというくらいの量の料理を食っていた事は分かったが、それ以降の足取りは何もつかめなかった。 逃げてしまったんだ。 ルイズは自然とそういう結論に辿り着き、涙が溢れてきた。 召喚したのが人間で、しかも逃げられてしまう。 明日授業に出たときに他の生徒から何と言われて蔑まれるだろうか。 考えるだけでも憂鬱になり、夢へ逃げるようにルイズは着替えもせずにベッドに横になる。 ほんの少し前まで寝ていたルイズだが、夜の静寂が慈悲深かったのか僅かにシーツを濡らすだけで寝息を立て始める。 そして朝まで目を覚ます事無く、なおも眠り続けていた。 昨日の事で相当疲れたようだった。 しかし彼女は眠りから覚めなければならない。 どんなに憂鬱でもそうして授業に出るのが貴族としてこの学院に身を置く者の義務である。 よって、ルイズに眠りを覚ます声がかけられる。 「ドォクタ――――――――――――――ッ!! ウェ―――――――――――――――ストッ!!」 メランコリックをものの見事に倒壊させる実に気の利いた電波で狂った声だった。 ルイズはベッドからシーツごと転がり落ちる。 突然の事に目をパチクリさせていたルイズだったが、慌てて窓を開けて声の主を探し、そして見つける。 声の主――――ウェストは朝日をバックにして空を飛行していた。 背中にはなにやら鉄で出来た巨大な帽子のような物体を背負っていて、そこから突き出した高速回転するプロペラによってウェストは横に回ったり縦に回ったりと悠々と飛行している。 「グッモーニン・エヴリ・ワンダフルデイ! やあやあ皆さんおはようございまーすっ! 本日も我輩、好調好調絶校長につき何ら問題ナッシーーーーングッ! この『グレート飛べ飛べガジェット』も、このトリスタインの歴史に燦然と刻まれる我輩の偉業を魁ているのであーる。 それでは手足の運動いってみよーーーーーっ!!」 1っ! 2っ! 3っ! 4っ! 5っ! 6っ! 7っ! 8っ! 2っ! 2っ! 3っ! 4っ! 5っ! 6っ! 7っ! 8っ! 空中に留まりながらウェストは両手を横に大きく振り、それに合わせるように膝を軽く曲げ伸ばしする。 要は普通のラジオ体操だ。 お馴染みの音楽とナレーションはラジオが無いのでウェストが自分で言っている。 ラジオ体操というものを見たことのないルイズにとってその動きは可笑しなものだった。 だが体操をするウェストを見て胸に乗っていた重石が軽さを感じ、同時にウェストに好感を持った。 何の前触れも無く知らない場所に連れて来られていきなり使い魔になれと言われたのに、ああやって何でもなくいてくれる。 確かにこのハルケギニアでウェストが頼れるのはルイズ一人だが、ウェストの性格からてっきり何処かへ逃げたと思っていた。 勿論ウェストがルイズの為に逃げなかったなんて事はありえない。 それでもルイズはそこに居てくれたウェストに感謝の念を禁じ得なかった。 そうして空中でラジオ体操と洒落込むウェストを見ていたルイズだが、ふとウェストの後ろに何か在るのを見つける。 太陽の強い光に目を細くして見つめると、そこには太陽の光よりもう一段階強い光があった。 あれは一体何なのか。 ウェストの動きに合わせて同じように縦へ横へと動くその光に、ルイズは一抹の不安を感じた。 もしあの光が有害な物だったら、ウェストはどうなるのか。 そう考えると一層に不安は増し、ルイズはウェストに声をかけようと口を開く。 が、言葉が咽喉を通り過ぎる前に光の正体が判明した。 それは誰もが目を逸らし、誰もが避け、誰もがあえて触れようとしなかったもの。 光は遂にウェストと同じ動きを止め、ウェストの横へと並び、そして―――――――――― 「素晴らしい! 全く持って素晴らしい! ああ、ありがとうウェスト君。 私は活路が目の前に開けたような気分だよ。 本当にありがとう。 君は私の恩人だ」 ウェストと同じように太陽を背にし、『グレート飛べ飛べガジェット』を背負い一段と頭上を輝かせたコルベールがウェストの両手をしっかりと掴み、まるで旧来からの親友のように握手をする。 「うむっ! 昨夜に我輩の英知を求めて来た時はこんなショッパイ親父に何が分かるのかと思っていたが、貴様は我輩が思っていた以上であった。 この魔法全盛の時代に、あえて科学を究め極めようというその意気込みに我輩感動したのである。 君の思い、確かに受け取った! 我輩に任せておけば、貴様の目指す栄光への道(ロード)は劇的ビフォーアフターの要領でエスカレーター式に早代わり。 ノックネヴィス(載貨重量564,763トン。全長458.4m。全幅68.9m。原油タンカーで世界最大の船舶)に乗った気分でいるがよい」 一応言っておくが、コルベールはウェストの胸のルーンを確認しようと訪ねただけで、ウェストの英知を求めに来たわけではない。 だが確認する前に好奇心に負けてコルベールが『飛べ飛べガジェット』の事を訪ねてしまい、すっかり目的が頭髪と同じ道を辿ってしまったのだった。 それからコルベールが『グレート飛べ飛べガジェット』を見つけて科学者的チョメチョメが始まってしまい、コルベールのミッションはゲームオーバー。 誰もが想像出来るだろう。 『グレート飛べ飛べガジェット』に頬擦りをすると同時に頭皮の何も無い毛穴からガムシロップを垂れ流しそうな程甘いコルベールの未知の技術に対する純愛っぷりを。 コルベールと謎の美少女(テクノロジー)。 これ絶対ゲームとか小説できる。 『私立アキハバラ工業高校』とか『機会天使コルベール』とか『造りかけの黒電話』とか、そういう感じのが。 とまあ本末転倒から始まって紆余曲折の過程を経て、時系列は現在に戻る。 「ノックネヴィスが何なのかは分からないが、大いに期待させてもらうよ」 ルイズが見たこと無いほど顔を緩ませて賛美していたコルベールは、下を向くと声を張って呼びかけた。 「あなたも早くこっちに来てみて下さい。 魔法を使わずに、それもこのような未知の技術で空を飛ぶというのは何とも感慨深いものですぞ!」 ルイズはコルベールが見た方に視線を動かして見る。 そこにはフラフラとしながら『グレート飛べ飛べガジェット』』で昇っていく老人の姿が。 「そう急かす出ない。ワシのような年寄りは物覚えが悪いんじゃ。 まだ若いお主のようにこの『グレート飛べ飛べガジェット』という奴の操作の仕方は直ぐには覚えられんよ」 「はは、すいません。私とした事が、つい我を忘れてはしゃいでしまって。 しかし我々は今、この世界の外から持ち込まれた力の恩恵を授かっています。 これを興奮せずに何と言いましょうか、オールド・オスマン!」 「まったく、君の情熱には恐れ入る。 君を見ていると、ワシにまで君の情熱が飛び火しそうじゃわい。 じゃがそれも一興。 ウェスト君、我々の準備は万全じゃぞ?」 コルベールとオスマンの視線にウェストは肯くと、白衣の内側からエレキギターを取り出して構える。 「オーケイ、オーケイ。 貴様らも我輩も準備はオーライというわけか。 ならば! 我輩たちは全力を持ってやり切るのみ! 昨夜の血を滲ませた徹夜の特訓の成果、見せてやるがよい! ミュージック、GO! GO! GO!!」 ウェストはギターをテンポ良く演奏し、三人はウェストを中心に横一列に並ぶ。 そして始まる曲にあわせて踊り始めた。 曲名はハレ晴れユカイだった。 「ファイヤ―――――ボ―――――――――――――――――――――ルッッ!!!」 ルイズは絶叫と共に杖を振った。 するとウェストの『グレート飛べ飛べガジェット』が大爆発し、隣の二人も巻き込んで更に爆発が二つ続く。 「WAWAWA、忘れもNoooooooooooooooooooooooooッ!!」 突然の爆発に失神して落ちていくオスマンとコルベールに、訳の分からない叫びを残して吹っ飛ぶウェスト。 安全のためか地面に敷いてある分厚いマットに落ちたオスマンとコルベールは助かったが、一人飛んだウェストは何もない地面に激突した。 運が悪い事に顔面からモロに突っ込んだウェストは、殺虫剤をかけられたゴキブリのように脚を犬神家フォームで痙攣させている。 ルイズはウェストを尻目に窓から射す日光に誘われて上を向き、まだ然程高くない位置で輝く朝日の眩しさに思わず目を細める。 肌を撫でるやや冷たい空気がゆっくりと体の火照りを払うのを感じながら、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むと一言こう漏らした。 「今ならわたし、この空を飛べる気がするわ」 そう言うと窓辺に足をかけて、I can fly! 「朝っぱらから何やってんのよあんた」 何やら騒ぐルイズが気になって部屋に入ってきたキュルケに声をかけられ、ルイズは飛ぶ前に正気を取り戻す。 こうしてルイズの朝は過ぎていった。 顔面から落ちたウェストだったが、やはりというか無事に回復してルイズと共に教室に来ていた。 もっとも無事といってもウェストの首は右を向いたまま元には戻っていない。 落下の所為らしい。 「ちょっとウェスト。あんたいい加減にその首を直しなさいよ。 見てて鬱陶しいわ」 「なっ!? き、貴様の所為でこうなったのであろうが。 それなのに然も当然の如く我輩を罵倒するとは、貴様には他人を思いやるという事を親から教えられなかったのであるか!? こんな直滑降な首では、右から来た物を左に受け流す事すら出来ないではないか」 「受け流さなくて宜しい。 だいたい何だったのよあれは。 オールド・オスマンとミスタ・コルベールを邪神召喚儀式の生贄に使わないでよ」 「貴様はジャパニーズ・萌え・カルチャーをC計画と同等と申すか!! まあ確かにアレにはSF要素やコズミックホラー的形容詞も使われているから一概に関係ないと頭ごなしに言う事は出来ないが―――って話がずれたである。 とにかく、貴様は我輩に謝れ。 床に膝をついて手をついて頭をつけて、そのまま三点倒立をするくらいの慎みと反省と萌えを込めて我輩と京アニに謝れ!」 「京アニってなによ京アニって!! しかもこの期に及んで謝れですってぇ! 貴族のわたしが平民のあんたにぃ!? 朝の事はまだ言いとしても、あんたが食堂で仕出かした事でわたしにどれだけの被害が被ったか分かってんの!?」 ルイズが言っているのはウェストに朝食を出したところウェストが怒り狂って暴れまわった事だった。 もっとも出されたウェストの食事が犬の餌モドキだった事が最初の原因なのだが、如何せんウェストはやりすぎた。 白衣に仕込んであった小型ミサイルを所構わず発射して食堂は見るのも無惨なボロボロ。 造りが頑丈だったのと固定化をかけていたからか、倒壊とまでは被害は行かなかったが、被害は酷い事には変わりない。 被害額は相当なもので、完全な修復には暫くかかるとの事。 とりあえず暫くの間は代わりの机が食堂に置かれることになった。 加害者の主という事でルイズに請求が来て、結局ルイズが実家の両親に泣き付く事で事の次第は終わる事になる。 そしてウェストは朝食を食べれなかった。 「あんたのせいでわたしはお父様とお母様とエレオノールお姉さまに何て言われるか! ああ、出来る事なら過去に戻ってあんたの所業を正したい……」 「むう…、そういうタイムトラベル的な事は長門か朝比奈…………」 「黙れっっ!!!」 間髪いれずにルイズは懇親の右ストレートを叩きいれる。 ウェストの股間に。 「ずぉぉォォォオオ御尾雄ぉぉぉぉぉぉぉぉおォォォォOOOOOおおぉぉ……ッッ!! わ…我輩…の……椰子の木と実が……………………………がく」 ウェストは悶絶し、泡を噴いて気絶した。 「ルイズ、一応あなたの使い魔でしょ。 いいの? ここまでして」 「これは教育よキュルケ。 礼儀と常識が欠落した無知で無礼で頓珍漢なコイツに世知辛い世の中を生きる為の術を教えてあげるの。 たとえ渡る世間が鬼ばかりでも、わたしの教えた事によってウェストはどんなに辛い事があっても切り抜けていけるわ。 そうしてウェストは厳しい教育の裏に隠されたわたしの思いやりに気がつき、感謝の涙に頬を濡らす。 その流れ出た尊いダイヤモンドはセンチメンタルでフォーリンラブなロマンスと共にウェストの乾ききった心を優しく慰めるの。 やがてウェストはわたしに絶対の忠誠を近い、見事な使い魔へと成長するのよ」 「ふ~~~ん。 どうでもいいけど、あんた若干自分の使い魔に毒されてない?」 キュルケのこの言葉に暫し動きを止めたルイズだが、次の瞬間にこう叫んだ。 「これは庵野と富野の謀略だ!」 毒され切っていた。 「はいはい、皆さんお静かに!」 教室のドアが開くと先生が入ってきて全員を静める。 先生が教室に入ってきたことで騒いでいた生徒も大人しくなって席に座る。 ウェストは床に放置されたまま。 先生は席に着いた生徒達を見渡して満足げに微笑むと、軽く咳払いをして喋り始めた 「皆さん。春の使い魔召喚は大成功だったようですね。 このシュヴルーズ、新学期に召喚された使い魔を見る事を大変楽しみにしております。 今年もいい使い魔たちが召喚できたようですね」 いい使い魔、という言葉に教室はクスクスと笑い声に包まれる。 ルイズはカッと顔が赤くなるのを感じ、反射的に床でのびているウェストを睨みつける。 そこには相変わらず股間を押さえ青い顔で泡を吹く、意識の無いウェストが臥すのみだった。 「おやおや。随分と変わった使い魔を召喚したのですね、ミス・ヴァリエール」 とうとうクスクス声は大きな笑い声に変わり、揶揄する声も加わった。 怒りのあまりルイズは笑う生徒達を睨みつけるがそれでどうなるというわけでもなく、口を固く結んで視線を机に固定した。 悔しさが呼吸のたびにルイズの鼻腔を抜けていく。 「おやめなさい!」 ピシャリとシュヴルーズは言った。 「共に勉学を共にする学友を悪く言ってはいけません。 平気で人を悪く言う人は貴族平民関係なく、一人の人間としての質を問われます。 わかりましたか皆さん」 この言葉に教室は静かになったが、まだ少し囁き声が聞こえていた。 シュヴルーズは憤慨すると、杖を一振りする。 すると、何所からとも無く赤土が教室内に現れて囁き合う生徒たちまで飛んで行き、その口を塞いでしまう。 「人が話をしている時は黙って聞きましょう。 それが人に対する礼儀という物です。 さて、それでは静かになった事ですし、授業を始めるとしましょう」 シュヴルーズは教卓の後ろに立つと、また杖を一振りする。 今度は赤土ではなくて変哲の無い石が教卓の上に現れる。 どうやらこの石ころを授業で使うらしい。 「私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。 この名でもうお分かりになった筈ですが、これから一年間、私はあなた達に土系統の魔法について講義していく事になります」 順調に進んでいく授業を、ルイズは受けた屈辱への怒りを抱えながら聞いていた。 正直シュヴルーズに救われてある程度の怒りは収まりはしたものの、やはり元々の気性か話に集中できていない。 口に詰まった赤土を張り出すのに苦闘している奴らを横目で見て「ざまあみろ」と胸の内で叫んでみても怒りは中々収まってくれない。 収まりの悪い怒り。 この正体がゼロと揶揄される自分自身に自分で向けた怒りだという事を、ルイズは重々承知している。 優秀で高貴な親の元に生まれ、姉達は当りまえに立派なメイジで、その中で唯一人だけ落ち零れている事実は日々ルイズを苛んでいた。 何故自分にはこんなにも才能が備わってないのか。 何故自分はこんなにも惨めな思いをしなくてはならないのか。 何故―――神はわたしにこの様な仕打ちをしたのか。 そうやってルイズは自分や偶像を憎んだ事もあったし、今でもそれは続いている。 このまま一生無能を曝して生きていくのなら、もういっその事死んでしまったほうが良いのではないのか。 学院に入った当初のルイズは同年代の者達と接し、そう考える回数は増えていった。 多感な年頃の不安定な心はルイズを暗い沼へと沈めていき、押し潰そうと迫ってくる事はとても耐えれた物ではなかった。 胸の内でくすぶる怒りを無視し、続けられる講義を聞いていたルイズは、軽快に授業を進めるシュヴルーズを見た。 目の前では教卓に置かれた石が真鍮に変えられる。 授業をする事が楽しいらしく、シュヴルーズの表情は満ち足りている。 その顔に、ルイズは全く似ていない筈の姉の一人であるカトレアを思い浮かべた。 病気がちでよく床に臥せているカトレアだが、人一倍優しい彼女にルイズはいつも支えられ、慰められ、同時に励まされた。 大好きな姉の腕の中は暖かくて何より安らぐ事ができ、その温もりはルイズの中に確かに残っている。 そしてその優しさに抱かれて、ルイズは今まで頑張ってこれたのだ。 しかし、昨日行われた使い魔召喚の儀式でルイズは中々成功できず、やっと召喚できなのは変な平民なのだ。 使い魔というものは主人の目となり耳となり、望む物を探し出し、何より害をなす有象無象から身を護ってくれるもの。 キュルケのサラマンダー然り、タバサの風竜然り、そういうものが相応しいのだ。 直ぐそこの床で昏倒している馬鹿面はどう見ても相応しく無かった。 ルイズはウェストの馬鹿面があまりにも馬鹿っぽさに、胸の内にある怒りをありったけ込めて睨む。 穴が開きそうなほど睨んだ結果、やっぱりウェストは馬鹿面だと結論した。 軽く鬱った。 訳の分からない疲れがどっと押し寄せ、ルイズは机に頭を伏せる。 これから先、旨くやっていける気が全くしなかった。 唯一期待できそうなのはあの空を飛んだ何かだが、それを持つ本人がこんなのなので期待薄である。 朝ウェストに好感を持った自分が心底アホに思えた。 「ミス・ヴァリエール。どこか調子でも悪いのですか?」 はっとしてルイズは顔を上げた。 「いっ、いえ。特に調子が悪いとかはありません。 失礼しました」 このルイズの失態に再び教室は笑い声に包まれる。 普段の自分ならしないだけに、ルイズは更に気を落とす。 「お静かにっ! いけませんわよミス・ヴァリエール。 人が話している時はそれを聞くのが礼儀だと私は授業の始めに申しました。 以後、気をつけるように。 あらそうだわ。丁度良いので、あなたに錬金をしてもらいましょうか。 さあ、ミス・ヴァリエール。こちらへいらっしゃい」 この時、教室中に響いていた笑い声が消え、ルイズとシュヴルーズ以外の全員の顔が青ざめる。 「待ってください先生。 ルイズに魔法をやらせるのは危険です」 こう言ったのはキュルケだった。 他の生徒もそれを肯定するように肯く。 「危険とは何ですかミス・ツェルプストー。 私はあなたに害が及ぶそうな事を彼女にやらせようとはしてませんよ」 「そういうことじゃなくて、ルイズに魔法を使わせること自体危険―――――― キュルケが言い終わろうとしたとの時 「ザオラク―――――――――――――――――――――――ッッ!!! おお ウェスト よ しんでしまうとはなさけない。 だけど問題ありましぇーん! たとえ千の風になろうとも我輩の誇る驚天動地の才能を持ってすれば、風となった我輩は世界中はおろか全宇宙に吹き渡り普く森羅万象を暴き尽くして見事蘇る事などチャラチャラヘッチャラ屁の河童。 この世はでっかい宝島で今こそアドベンチャーと意気込むのは全くの無駄なのであーる。 故にドラゴンボールを集める必要は全く無いのである。 我輩のドラゴンボールは百八式まであるぞ、なのであーる! さあ、好きなだけ思う存分心置きなくギャルのパンティーの催促をするがよい!!」 ウェストが復活した。 激しく喋ったのでさっきまで噴いていた泡が唾と一緒に飛んで近くに座っていたマリコルヌの顔にかかった。 「うわっ! 汚ぇぇっ!! おいお前! 平民の分際でこの僕に唾を吐きつけるなんてどういうことだ! こんな事をしてどうなるか分かってんのか!」 「ほほう。それは我輩に対する挑戦であるな。 いいだろう。 その挑戦、受けて立つである!」 「なっ! なんだよ! こ、この僕とやる気か!?」 「イエ――――ス!! イッツ! ロケンロ―――――――ルッッ!!!」 ウェストがそう叫ぶと、白衣の下からガチョンガチョンとマッジクハンドが飛び出してきた。 その数、実に十二本。 もはや藪からマジックハンドと言っても差し支えないと思えるほどの唐突さ加減だった。 そして当たり前に無視される「それドコに仕舞ってたの?」という疑問。 きっとドラえもんに差し替えわってのび太の元にウェストが来ても何ら問題は無いだろう。道具的な意味で。 「なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」 「ひゃ――――――っはっはっはっ!! これぞ千手観音フォ―――ム!! いざ、貴様をレッツ・フルボッコ☆」 そう言うとマリコルヌに向けて十二のマジックハンドが繰り出された。 その瞬間――― 「空気読め」 何やら冷静―――というか冷徹な声が教室内に響いた。 その底冷えする声によってウェストとマジックハンドは動き止め、数拍の沈黙が訪れる。 ウェストを含める教室内にいる全員が声を出した人物に目を向ける。 視線の先には、ジッとウェストに視線を固定したタバサの姿が。 「なるほど。貴様も我輩に挑むというわけか。 勝てぬと分かっていても挑むその意気や良し!」 「空気読め」 タバサはウェストを無視して言った。 「逃げ出すなら今の内であるよはいもう逃がさない~!! もう我輩は貴様を逃がさない。 たとえ貴様がどんな場所へ逃げようと、我輩は時間の角度と通る今日のわんこのように貴様を追跡するのである。 我輩の影に恐れ慄きながら、暗澹たる人生を送るがいい!!」 「空気読め」 「な、なんであるか。 さっきから同じ言葉を繰り返して。 空気を読むのはそっちである」 「空気読め」 「いや、だから…」 「空気読め」 「その……」 「空気読め」 「…………」 「空気読め」 「……………………」 「空気読め」 「………………………………………………」 「空気嫁」 「………………………………………………………………………………………………フッ」 ウェストは口元を吊り上げて笑った。 「どうやら、貴様はそこいらの坊ちゃん嬢ちゃんとは一味違うようだな。 よかろう。 今回はそこの青髪超ロリッ子眼鏡に免じて許してやる。 命が惜しくば、即刻立ち去るがいい!!」 と言っても今は授業中なのでマリコルヌは立ち去れない。 ルイズは頭を抱えた。 「んっんん!! 皆さん此方にご注目! ほら、ミス・ヴァリエールの使い魔さんもお静かに!」 この日何度目かになるシュヴルーズの一喝。 ルイズはウェストを前にして動揺しないシュヴルーズがものスンゴク頼もしく思えた。 「なんであるか貴様は。 この我輩に向かってそのような偉そうな口調で話しかけおって。 邪魔をするなであーる」 「あんたより偉いのよ!! それに邪魔してんのはそっちでしょ! 今は授業中なの。だから大人しく黙ってなさい」 そう言い切るとルイズはウェストの相手をやめて石ころに向かい合う。 「ちょっと止めなさい! どうせ失敗するんだから無駄な被害を出さないでよ」 「うるさいわねッ! やってみなくちゃ分かんないじゃない!」 「お黙りなさいミス・ツェルプストー。 さあミス・ヴァリエール。錬金したい金属を心の中に強く思い浮かべるのです。 大丈夫。あなたならきっと出来ます」 促されたルイズは杖を持ち静かに目を瞑り、真剣な面持ちでルーンを唱え始める。 「ほぅ! そういえば我輩、まだ一度も異世界の魔術を見ていなかったであるな。 ロリッ娘よ! 貴様の魔術、特と拝ませてもらうであーる!」 ウェストはルイズの魔法をよく見ようと石ころの近くへ近づいた。 教卓の周りの三人を除いた全員は机の下に避難していたが、この三人は石ころに集中しているので気付かない。 短いルーンを唱え終え、ルイズが杖を振り下ろす。 石ころは反応を示して光り、そして次の瞬間に大爆発を起こした。 爆風が至近距離で直撃したルイズとウェストとシュヴルーズは吹き飛び、机の下から悲鳴が上がる。 突然の事に大人しくしていた使い魔たちも驚いて大騒ぎを始め、食った食われた火がついたといった騒動で教室はてんやわんや。 阿鼻叫喚の真っ只中、ウェストは再び気絶していた。 その頭には、見事なメロンソーダ色のアフロが一輪、慎ましくも艶やかに咲き誇っておったそうな。 ドクターウェストの華麗なる実験:第二話「これは庵野と富野の謀略だ!」完 次回、第三話「マーラとモーラって、なんか似てね?」につづく……つづく? ―――つづく!!
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前ページ次ページゼロの使い魔ももえサイズ 拝啓、私の王子様 すごいです。私、王子様の顔を見ただけですごくどきどきしてしまうんです。 この思いを王子様に伝えたい………でも私は臆病だからそれをいまだに伝えられずにいたんです。 だから私、この思いをチョコレートにこめました。私の愛の手作りをどうか召し上がってください。 しらとりく……死神ももえ 「で、それが愛の手作りチョコなわけ? 明らかにシエスタに作ってもらってたけど。」 「そーだよ。これが愛の手作りチョコレート 私料理下手だから。」 リボンで梱包されたチョコレートをさも自分のものかのように扱うももえであった。 「いいんですよ。私はモモエさんのお世話をすることが数少ない生きがいなのですから。」 「………! ねぇちょっと、あんたシエスタに何したのよ! 何したのよーーー!!!!」 にっこりと曇りない表情で微笑むシエスタをよそに、ルイズはももえの襟首をつかんでがくがくと上下させ続けた。 これが投稿されたらうどん食べて寝る「ゼロの使い魔死神フレイムデルフリンガーシルフィード二年生ももえサイズ」 馬に乗って帰ってきたルイズは、先に帰ってきてたももえ達から自分達が学院内でしばらくの謹慎を命じられたことを知った。 仕方ないとはいえルイズは思わず肩を落とした。しかしももえは相変わらずの様子だ。悪魔はこの学院内にまだ潜んでいるらしいが……… 「洗濯をしてきなさい。」 翌日、ももえの前に大量の下着やら何やらが渡された。御主人様と使い魔の主従関係を示すのが先決だとルイズは考えたのだ。 「これは?」 「見れば分かるでしょ。私の下着よ」 「………」 「こらぁ! いきなり臭いを嗅ごうとするなぁ!」 思わずルイズは下着をひったくった。 「………ったく、いい加減にしなさい! その洗濯が終わるまでこの部屋に戻ってきちゃだめだから。いいわね?」 「とはいっても………」 大量の洗濯物を持ってももえは頭を抱えた。ももえは洗濯などしたこと無いのだ。メイドのメイちゃんが全部してくれたから。 「メイド、メイド、メイド…………メイド!」 するとたまたまメイドがちょうど通りかかってきたのでその娘にお願いすることにした。 「そこのおっぱい星人!」 「誰がおっぱい星人ですか! しかもなんで初対面の人にいきなりそんな事を言われなきゃいけないんですか!」 メイドは胸をぷるんぷるんとゆらしながらももえに近づいた。 「どうでもいいけどとりあえず名前を聞いておくわ。そうしないと話進まないし」 「私の名前はシエスタで、このトリステイン魔法学院で給仕を中心にメイドの仕事をしています。で、あなたはミス・ヴァリエールの………」「生き別れになった双子」 「いやいやいやいや、確かあなたはミス・ヴァリエールの使い魔のモモエさんだったはずでは……」 「だから早くこの下着を洗ってね☆」 「だから って何ですか! この下着を私に洗えと!?」 「だってあんたさー、本編のみならず幾多数多のSSで召喚されてた奴と友情やらなんやら育んでたし」 ???ものしり館??? ※幾多数多のSS【いくたあまたのえすえす】 「幾多」とは数多くの、「数多」とは数の雅語的な表現。つまり数多くのという意味で今回は使われている。 ゼロ魔本編でのヒロインぶりは勿論のこと、「召喚されました」SSでもシエスタが召喚された者の味方になるケースが多い。 そして今回の場合幾多(ryでのルイズとシエスタとの友情も含まれていたため、イメージ図での大きさは5mぐらいの大きさと思われる。 「いきなり何わけのわかんないこと言ってるんですか! いくら私が人のいいメイドとはいえ、こんな勝手な人の頼みなんて知りません!」 シエスタは怒ってしまってこの場を去ろうとしている。 その時ももえには『幾多数多のSSで培ってきた友情』のイメージ図がシエスタの体からふわふわと離れていくのが見えた。 「あ、そうだ!!」 ももえはカマを取り出すとそれをばっさりと真っ二つに斬った。すると、 「モモエさん だーい好き!」 くるりと振り返ったシエスタはももえに抱きついたのであった。 『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』 「じゃあ、洗濯してくれる?」 「はい! 下着からミス・ヴァリエールとの鬱陶しい関係までなんでも洗い流して差し上げますよ!」 「あははははは」 「あははははは」 シエスタを抱きかかえたももえはしばらくその場を回り続けた。 翌朝、ルイズの部屋の元にシエスタがチョコを持って訪れた。それを受け取ったももえはたいそう喜んだのだけど、 「それで、このチョコレートは誰にあげるつもりなのかしら?」 ルイズは作られたチョコを見てそう尋ねた。形も整っていて真心が感じられる物だと思う。その相手に向けられてないのは確かだが 「憧れのギーシュさまに………」 「ぶっ! あっ、あんたみたいなのがあんなのに興味を持つなんて、い、意外ね。」 ルイズの声は上ずっていた。正直驚きを隠せなかったのだ。趣味を疑う的な意味で 「実は昨日、女の子を一人斬っちゃってさー」 「え」 「いやー、でもあれは仕方なかったよ。ねー、シエスタちゃんもそう思わない?」 「思います、思います。 本当あれは相手が圧倒的に悪かったですから。」 ルイズはこの二人が真実を語っているとは到底思えなかった。そして腕組みをして考え込んでいたら、ある答えがひらめいた。 「その娘って、もしかしてケティの事じゃないかしら?」 ケティはルイズたちの1年後輩で最近ギーシュと付き合っている女子のことである。 「あー確かそんな名前だったような」 「すごい洞察力ですね、ミス・ヴァリエール。」 シエスタはルイズのことをほめたのだが、明らかに棒読みだったのでルイズを苛立たせただけだった。 「それが臭くってさ~」 「あははー臭いですよねー」 二人が別次元の会話をしているのをよそにルイズはまた腕組みをして考え込んでいた。 「たしかにギーシュはもてるわよねぇ………」 ギーシュは女の子に甘ったるい言葉をかけたりするなど、女子には優しかったから人気はある。 しかしギーシュには前から恋仲であるモンモランシーという女子がいたはずだ。恐らくあいつの事だから二股でもかけてたんだろうかと思いをめぐらせてるとまたある答えがひらめいた。 「もし、あんたが後輩を斬ったって事は………下級生?」 「「あ」」 「わあ、超人的洞察力ですね、ミス・ヴァリエール」 『ももえのカマで斬られたものの存在はももえが肩代わり 後輩のケティが斬られたのでももえの学年が1年下がります』 ???ものしり館??? ※肩代わり【かたがわり】 本来他人が背負わなければならないものを自分が代わりに背負うこと。 このSSでの「肩代わり」の解釈は能力的なものから肩書き的なもの、物理的なもの等、時と場合と都合に応じて変化する。 つまり前々回は上級生の「称号」だけ肩代わりされたにもかかわらず今回性格的なものも肩代わりされているというのは作者のご都合主義に他ならない。 しかしクロス先の「ももえサイズ」はそのような枝葉末節など吹き飛ばしてしまうような漫画なのでそれに倣ったまでである。ご容赦いただきたい。 とうとうその時がやってきた。ももえはいてもたってもいられなくなって空を飛んでギーシュの元へと向かった。 「きゅいきゅい」 『シルフィードの能力』 そして上にはシエスタとルイズが乗っていた。 ルイズも結局この騒動に巻き込まれたからには必ず元を取ってやろうと思うようになったのでももえについてきたのだ。 「わぁ、私達って今、空をとんでいるんですね。」 「言いたいことはそれだけなの!?」 シルフィードの能力を無駄遣いしつつも素早くギーシュを発見し急降下した。 「いやああああああぁぁぁあぁぁ!!!!」 「あはははははは。あっははははははははは」 「むしろそれは中原よね………」 ギーシュは友人達に恋人とはなんであるかを偉そうに解釈していた。 「…………であるからして僕は薔薇一族を作るのが夢なんだよ。」 ???ものしり館??? ※薔薇一族 【ばらいちぞく】 ローザネイから派生する競走馬一族である。ローズやローザなど薔薇に関する名前が付けられることからきている。 GⅡ、GⅢは勝てるのにGⅠになるといまいち勝てなくなることで有名。 そんな成績のためか、この牝系にはファンが多い事で知られている。 友人達が上空の異変に気づき逃げようとするものの時すでに遅し。ももえ達は思いっきり突っ込んだ。 「うわあああああああ!!!!!」 「きゃあああああああ!!!!!」 そしてそんないざこざの間にギーシュの胸ポケットから香水の瓶が飛び出した。 「落ちる!」 ももえはおもわず手にしたカマでそれをキャッチしようとしたが、 ざしゅっ 小さな瓶はきれいにまっぷたつに割れた。 「つまり、これは………」 いち早く立ち上がったルイズが横になったまま動かないももえを見てまたしてもあることに気づく。 「ギーシュさまぁ」 「ごほっ………ごほっ、なっなんだい君は。」 「私、ギーシュさまの落とした香水ですよー。だから拾ってくださーい」←使い魔死神友情フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生 「なっ、何を言っておるのだ。僕はこんな大きな香水は落としてないぞ。じゃ、じゃあ僕は用事があるからこれで」 そんな事を言うとギーシュは逃げるように去ってしまった。 「じゃ俺も用事があるし。」 「あっ、俺も。」 「俺も俺も」 ギーシュの友人達もそれに続いた。後に残されたのは寝転がったままのももえとそれをじっと見つめるルイズとシエスタだけだった。 ももえは懐から取り出したプラカードとマジックで「拾ってください」と書いて自分の首に巻きつけたのだが一向に効果は見られなかった。 そしてルイズがあきらめかけたその瞬間! 「あら、こんなところに私の香水が落ちてるわ」 たまたま通りかかったのはギーシュの香水を作った女子、モンモランシーであった。 「でも、こんなに大きい香水ははじめてみたわ。どうやって持って帰ろうかしら。」 モンモランシーはももえの前でうんうんと唸り始めた。見かねたシエスタが声をかける。 「あの、これって実は 「私が手伝うわ。」 「あら、いいの? ミス・ヴァリエールが人の手伝いを進んでしてくれるなんて珍しいわね。」 「私の気が変わらないうちにとっとと済ませるわよ。」 モンモランシーの憎まれ口にも反応する暇など無い、ルイズは渡りに船とばかりに実行に移すことにした。 とりあえずモンモランシーは足を持ってルイズは首を持った。試しに持ち上げてみると意外と軽かった。これならいけそうだ。 「いっち、に、さん、し」 「えっほ、えっほ」 「いっち、に、さん、し」 「えっほ、えっほ」 遠くに連れて行かれるももえを見てシエスタはとりあえず大声で聞いてみることにした。 「その香水今度使わせてもらってもいいですかーー?」 「ええ、いいわよーー!」 すぐさまルイズの返事が返ってきたのであった。 「ただいまー!」翌朝、何事も無かったかのようにももえがルイズの部屋に戻ってきた。 「モンモランシーとの生活はどうしたのよ」 「いや、私より彼女のほうが香水"向け"だったから。」 「?」 「ところでさー、知ってる? エッチな気分になる香水って女の子の脇の臭いとおっさんの脇の臭いを混合させて作ってるんだよ。」 「知らないわよ、そんなこと。」 するとももえが急にルイズの脇元に鼻を近づけた。 「なっ、なな何するのよ!」 「いやー………やっぱりあんたのほうが香水向けね。マニアックな臭いがする。」 「マニアックな臭いってどんなのよ! って私の脇を指差すなぁ!! わ、私の脇はそんなに臭ってないわよ。臭ってないんだからね!」 ※おわり これまでのご愛読、ご支援ありがとうございました。 ※次回からはじまる「ゼロの使い魔死神友情フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」に乞うご期待!!! 前ページ次ページゼロの使い魔ももえサイズ
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ゼロの番鳥外伝『ルイズ最強伝説』 Q.ペットショップとギーシュが決闘してる間、逃げたキュルケとそれを追い駆けたルイズは何をしていたんですか? A.こんな事をやっていました ドカーン!バゴーン!ドカーン!バゴーン! 学院に爆発音が響き渡る。勿論、その原因は私の魔法だ 「あはははははははははは!!!!!」 口から溢れる笑いを止める事が出来ない。得体の知れない恍惚感が体を震わせる!何かカ・イ・カ・ン!最高にハイ!ってやつよ! 脳が破壊と破壊と破壊を求めて矢継ぎ早に指示を出す。 私の笑いに反応したのか、逃げているキュルケが振り返ってこっちを見た。ん?何で脅えたような顔をするんだろ? 悪鬼を見たような顔をするなんて、私の繊細な神経が酷く傷ついたわ! 「大人しく吹っ飛ばされなさい!」 魔力を注ぎ呪を紡ぎ、発動の引き鉄となる杖を振って、私が唯一使える大得意な魔法を放つ! ドン! やった!ドンピシャのタイミングで爆発が起こった! キュルケが予期したように回避行動を取ったが、私の狙いはキュルケでは無く、その頭上! ガラガラガラガラ・・・・・・・・・「うひゃぁっ!?」 みっとも無い叫び声を出しながら天井の崩落に巻き込まれるキュルケ キュルケの生き埋めの出来あがり♪と小躍りしそうになったが、下半身しか埋もれてないのに気付いた。チッ。 瓦礫の下から何とか抜け出そうと足掻いてる。くふふふ、無様ね。トドメをさしてあげるわ。 「んふふふふふ・・・・・・」 わざとらしく足音と笑い声を立てながらキュルケの前に立つ。 キュルケは慌てて床に転がった杖を取ろうとしたが、その手が届くより先に、私の足が廊下の彼方に杖を蹴り飛ばす。 顔面が蒼白になるキュルケ、私の狙いに気付いたようだ。 「ル、ルイズ、もう冗談は止めましょ?ね?杖なんか掲げてると危ないわよ?私達友達でしょ?」 先程までとは一変して哀願口調になる。ふん、それで男は騙せるとは思うけどこのルイズ様にはそんなの通用しないわよ 死刑を執行しようと、杖を振って呪文を唱え―――そこで私は気付いた!キュルケの目が私では無く、私の後ろを見ている事に! 「エアハンマー!」 刹那、転がって回避した私の横を空気の槌が通過――――そして ドゴン!「ふげっ!」 私が回避した事により、直線状に並んでいたキュルケに当たった。身動きできないんだからどうやっても避ける事は出来ないわよね。 潰れた蛙のよう声を出して気絶するキュルケ。ああ、何て可哀想なの!とても嬉しいわ私!うふふふふふ 大声で笑いたかったが。それよりも私に攻撃しようとした不埒者にお仕置きするのが先。 「ミス・ヴァリエール!杖を捨てろ!!」 下手人は魔法学院の先生の一人だった。生徒に魔法を使うなんて野蛮にも程があるわよ。 「杖を早く捨てて!頭の上で手を組んで床に跪け!早く!」 私は声を聞き流して、その先生に近づく。 どうせ教師の職権を乱用して、世界三大美少女に入るほど可憐な私に性的な悪戯をする気満々だろうし!命令を聞く気は無いのよ! 「ヴァリエール!指示に従え!!」 焦れたように叫ぶが私はそんなのを聞く気は一切無い。 距離が5メイルを切ってから―――私は一気に走り出した。 「くそっ!どうなっても知らんぞ!?エアハンマー!」 先生が杖を振り空気の槌が私の腹部に直撃―――する寸前! 私は滑るような足捌きで突如体を平行移動させる。ドガッ!「ひげぇ!」 後ろからキュルケの声が聞こえた、どうやらまた私が回避したことにより外れた弾の直撃をくらったらしい。 いい気味ね 「はぁぁぁ!?」 回避するとは思わなかったのか、化物を見るような眼で私を見つめる先生。 あんなんで倒せると思うとは甘い甘い。ココアにミルクと砂糖をたっぷり入れて生クリームを乗っけたより甘いわよ! 時が止まって見えるほど集中した私には、服の下の筋肉の微細な動きまで見えたんだから! 「おおおお!?」 魔法を放つ余裕が無いのか無我夢中に杖を振って私を殴り付けようとするが。 私は身を屈めてそれを回避!その動きのままに先生の懐に潜りこんだ!顔に驚愕の表情を張り付けているのが良く見える。 そして―――その身を屈めた運動による腰と足の力は腕に伝えられ!突き出される拳! 当たる寸前にその拳を柔らかく開き!粘りつくような掌を目標に捻り込む!狙いは先生の鳩尾! ドン! 破壊的な音が私の腕を通じて脳に聞こえた!カ・イ・カ・ン! 強烈な一撃をくらった先生は息を吐いてその場に崩れ落―――駄目押しぃぃ! 捻りを加えた足が顎を真上に蹴り飛ばす、上体が浮いて無防備な体を一瞬硬直させた。 私はその場でくるりと回ると、持っている杖を胴体に突き付け!即座に魔法を使い爆発を起こす! ドゴォォォン! 零距離で起きた爆発をまともにくらい、吹っ飛ばされて壁にめり込む先生。白目を向いて気絶してる。んん?泡まで吹いてる。軟いわね と言うか、ほぼ至近距離で爆発起こしたから私も煤塗れになっちゃった。後でペットショップに洗濯させないといけないわね なんて事を私が考えていると。 「ヴァリエール!!!!」 叫び声が聞こえた方向を見ると新手の先生の姿が!敵が増えた! モタモタしてられないわ! 「それぇ!」 倒した敵の杖を拾って思いきり投げ付ける。自分でも100点満点と思う程に洗練された投球フォームだ。 メイジにとって杖は命の次に大事な物。魔法学院の先生方がそれを知らないわけがない。 凄いスピードで一直線に飛ぶ凶器となった杖を、他人の物だからと言って魔法で撃ち落すわけにもいかず、私の目論見通りにしゃがんで回避する。 それを見てほくそ笑む私。その判断は、この戦いにおいて致命傷となる隙を作り出すわよ! 「!?」 飛ぶ杖に続いて突進していた私に気付いた先生が慌てた動作で杖を振り上げる。 だけど遅い遅い。気付くのが数秒遅いわね! ゴガッ! 私の頭突きが先生の顔面にクリーンヒット!噴水のように鼻血を噴出した!・・・うひゃっ!鼻血が頭にかかった!許せない! 反射的に顔を押さえる先生に、私の渾身の体当りが決まる。 倒れた先生の上に馬乗りになる私。俗に言うマウントポジションってやつだ。 鼻を押さえる先生の顔が恐怖に歪む。私が何をするか理解したようだ・・・・・・それも哀れに思うほど遅いんだけどね。 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!! 顔面に拳の連打をおみまいする。先生は狂ったように暴れるが、重心をピンポイントで押える私から逃れる事は出来ない。 それから十数秒後、ピクリとも動かなくなった先生の体の上から立ち上がる私。 目の端に又人影が見えた。敵ね!?敵は皆殺しの全殺しでズタズタのグチャグチャのミンチの刑よ!あははははははははは! 振り向くと、腰が抜けたような格好で後退りする女教師の姿を発見。補足して全速突進! 私が走ってくるに気付いたのか、泣きそうな顔が更に泣きそうになって持っている杖を振り、火を飛ばす。 「遅い!」 走りを止めずに首を曲げてその攻撃を回避。遅い遅い遅すぎる!集中している私にはスローすぎて欠伸が出るわよ! 絶望的な表情でそれを見た先生は悲鳴を上げながら、再度杖を振り巨大な火球を発射した。 それは『火』と『火』を使った攻撃呪文『フレイム・ボール』!小型の太陽が私を襲う! その火球が、体に当たって私を炭にするだろう一瞬前――――床を蹴り、壁を蹴って天井に届くほど高く跳躍しスーパーにビューティフルな形で回避。 それにしても『フレイム・ボール』なんて・・・・・・・生徒に向けて使うものじゃないわよ!危ないわね!これはお仕置きね! 「天誅!」 そのまま天井を蹴った勢いと重力加速を加えた私の蹴りが女教師の腹に決まった。 まあ、肋骨が粉砕して、内臓が破裂しかける程度に手加減しちゃったけど。私も甘いわね 甘美な勝利の感覚が脳に伝わり、知らず知らずの内に顔の表情が笑みを形作る。 「私が最強よぉぉぉぉぉっ!!!!」 ガッツポーズをとって叫び声を上げようとした所で、何かが鳴る音が聞こえて・・・・・・ 私の・・・・・・意識は・・・闇に落ちて・・行った・・・・・・zzzzz 倒れたルイズを見てやっと安心するコルベール、その手には秘宝の一つである『眠りの鐘』が。 コルベールは滅茶苦茶になった廊下や、打倒された教師達を見回すと、魂も吐き出すかのような溜息を突いた。頭髪が更に少なくなった。 この後、ちょっとばかり洒落にならない額の弁償金をルイズが払う事となったのは、物語とは更に関係無い話である。
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ギルガメッシュ召喚 タバサの任務につきあってミノタウロスを両断 ギルガメッシュ「弱い!俺の世界で聞いたミノタウロスってのはこんなもんじゃなかったぜ!」 タバサ「…スクウェアメイジのミノタウロスより強い…?どんなの?」 ギルガメッシュ「そうだな、俺の聞いた話じゃあ… 力の塔ってとこにいる最強の聖なる魔法ホーリーの番人で! 魔法禁止といっておきながらやばくなるとそのホーリーを持ち出そうとし、 しかも脳筋野郎なせいかMP不足で唱えることができない結局通常攻撃オンリーな芸の無い野郎 それを隠すためにあらかじめ戦場にミュートをかけておくという反則技は俺も大いに見習いたいところだ ついでにご自慢の腕力はすべてをしるものとか言うリターン厨な魔法使いのボケジジイに完敗しているという…」 タバサ「………」 ギルガメッシュ「…いや、でもコイツよりは強いはずだ、多分」
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陰陽師 攻撃術 式神召喚・参 目録 召喚術・伍 必要気合 1120 必要アイテム 呪符 ウェイト 2 効果時間 式神が倒れるまで 発動準備 なし 使用場所 戦闘専用 効果 ランク3の式神を召喚し、ともに戦わせる。 特徴 憑依攻撃(敵単体に若干ダメージと確実に呪い。ウェイト?) 憑依回復(召喚者を回復。ウェイト?) 憑依付与(召喚者にランダムで付与。ウェイト?)が使える 敵の攻撃の対象になる その他情報 名前 コメント
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ルイズが召喚したのは生後まもない女の赤ん坊であった。 はじめは皆かわいいということではしゃいでいたのであるが、この子がとんでもない嵐を呼ぶ乳児だと知るのはすぐであった。 今日もまたルイズの部屋で。 「エッヘッヘッ」 「こらーひまわり! あたしの宝石を持っていくんじゃないの!」 「タタタタタ」 「まちなさーい! あっ、きゃーっ!」 ドガンッ!(ルイズが壁にめり込む音) 食堂に来れば。 「あらギーシュ」 「ほう、これが君の使い魔か。赤ん坊を召喚するとはさすがゼロのルイズ」 「けっ(ギーシュの顔を見て吐き捨てる音)」 「なっ、なななな!!」 また、アルビオン。 「イヘヘヘヘ」 「ねえひまわりくん、そろそろ離してくれないかな。ぼくは皇太子として戦場にいかねばならないのだが」 「こらひまわり! ウェールズさまから離れなさーい」 「たーい、たーい!(もちろんてこでも動かない)」 そして春日部では暗黒タマタマのノリでひまわり奪還大作戦がはじまっていたとさ。 クレヨンしんちゃんから野原ひまわりを召喚
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「次の停車駅は~、惑星ハルケギニア~、惑星ハルケギニア~、停車時間は一ヶ月~」 鉄郎はその星で聖地と呼ばれた銀河鉄道ステーションに降りた直後、コントラクト・サーヴァントで召喚された ルイズの使い魔となった鉄郎は、盗難された学院の秘宝を奪還するためにフーケのゴーレムと対峙する 「テツロー!この秘宝『宇宙の竜騎兵』は取り返したわ…」 「ルイズ!それを"返せ"!」 鉄郎は戦士の銃コスモ・ドラグゥーンでフーケのゴーレムを撃ち砕き、勝利した 後に鉄郎とルイズは神聖アルビオンとの戦争に巻き込まれ、戦艦レキシントンの攻撃に晒されるが その時、タルブ村の地下での長い眠りから目覚めた宇宙戦艦ヤマトがやってきた(第二案、ハーロック) ルイズは戦艦ヤマトの艦首で虚無の魔法をエネルギー変換して、レキシントンに叩き込んだ 「…これは…波動砲…」 後に鉄郎はルイズを守るため、7万のアルビオン軍に戦士の銃一丁で立ち向かうが 深い傷を負った鉄郎はウエストウッド村に住む金髪で豊満な体型の黒服女性に助けられる 「…鉄郎…999に帰りましょう」 鉄郎はこの星を去った なお、メーテルや森雪、エスメラルダのような松本零冶作品の女性とは似ても似つかぬルイズは 鉄郎にとっては女でなく、恋愛対象にはなりえなかったとか ルイズが星野鉄郎を召喚
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虚無の曜日。 休日であるこの日、シエスタは朝早く自分の服を掃除し、洗濯する。 一通り部屋の掃除を終わらせた後、マジックアイテムの入ったポーチを腰に付け、マントは畳んで小さなバッグにしまい込む。 一般的なメイジ達よりも小さく作られた杖は、腰ではなく脇の下に下げて、外出の準備を終えた。 魔法学院の裏門で、貴族用に作られた靴よりも丈夫に作られた靴の紐を確認する。 シエスタの曾祖母が伝えたという”ブーツ”という靴らしい。 忘れ物がないか再度確認すると、シエスタは駆けだした。 走りながら考える。 貴族の生徒達と一緒に授業を受け、最初に感じたのは恐怖だった。 何せ貴族の使う魔法は、この世界で無くてはならないものであり、同時に平民を蹂躙する力でもある。 貴族の生徒の中に放り込まれ、シエスタは泣きそうになった。 だが、シエスタという異質な存在を受け入れさせるため、オールド・オスマンはルイズを利用する。 オールド・オスマンは、土くれのフーケを道連れにルイズが起こした爆発の規模を教師陣に説明し、一つの仮説を立てた。 「ミス・ヴァリエールは魔法を『失敗』していたのではなく『暴走』させていたのではないか」 魔法の暴走などという事象は聞いたこともない。 しかし、その破壊力と、自分自身までをも傷つけてしまう危険な魔法がこれから先現れないとも限らないとし、トリスティン魔法学院は既存の魔法だけではなく、文献に残された『特殊なケース』に目を向けることになる。 それが他ならぬオールド・オスマン自身であり、シエスタでもあった。 魔法の原理を研究するため、自身の身体を実験台としていたオールド・オスマンは、まったくの偶然で長寿を手に入れたと説明した。 もちろんこれには『波紋』が関わっているが、その事はロングビルとシエスタ以外には伏せられている。 シエスタの場合は、曾祖母リサリサが『東方より癒しの力を伝えた人物である』と説明することで一応話はまとまった。 この背後には、ルイズの母、カリーナ・デジレの働きもある。 若きメイジ達の育成に細心の注意を払い、未知の現象をただ『失敗』と断じるのではなく、その原因究明に勤めるようにとメッセージが届いたのだ。 また、意外なことに、魔法学院の教師の一人『疾風のギトー』がシエスタを評価してくれた。 疾風のギトーは風系統のメイジであり、風の魔法に強い自信を持っている。 授業が始まれば「風は最強だ」「風に勝る属性はない」ばかりを繰り返し、度が過ぎるためか、同じ風系統のメイジからも煙たがられている。 その評価が変わるのは、ギトーがシエスタを指名した日だった。 「……む、今日から一人多いのだったな、右奥の君」 「はっ、はい!」 「ミス・シエスタだったかな、オールド・オスマンから話を聞いている」 シエスタは突然名前を呼ばれ、緊張して返事が上ずってしまう。 「早速だが、私の属性は風、二つ名を『疾風のギトー』という」 依然、シエスタに視線を向けたままのギトーは、杖を取り出して得意げに言った。 「諸君らの前で、風が最強であることを示そう。折角だ…ミス・シエスタ、君の得意な魔法を私に放ってみたまえ」 「えっ!?」 「オールド・オスマンが言うには、君は特殊な魔法を使うそうだな、良い機会だと思ってね」 シエスタは驚き、慌てたが、そこでキュルケが助け船を出した。 「ミスタ・ギトー。ミス・シエスタは治癒に特化したメイジですわ、そんな彼女に人を傷つけさせようなどと仰っては、疾風の名が泣きますわよ」 キュルケの言葉を聞いて、ギトーが顔を綻ばせた。意外だった。 「ほう!治癒か!これはいい、なら是非それを見せてくれないか」 「えっ…えっと…」 シエスタが困ったように辺りを見回す、すると、窓際に置かれている花瓶に気が付いた。 いつも手入れされている教室には珍しく、何本かの花は枯れかけていた。 シエスタはおもむろに立ち上がり花瓶に手を当てると、呼吸を整える。 そしてオールド・オスマンの言葉を思い出す。 『君はいつも、重い物を持ち上げる時、呼吸を整えてから持ち上げるそうじゃな?それをやってみたまえ』 大丈夫。 何回も練習した。 だから大丈夫。 シエスタは身体の中を流れる”何か”を感じていた。 呼吸をする度に身体の内側から”何か”が流れていく。 呼吸がそれを押し出すように、一定の方向にそれを向かわせるように、ゆっくりと確実に呼吸を整えていく。 生徒達の耳に、コォォォォォォォ…という風のような音が聞こえたかと思うと、花瓶に挿された花に異変が起こった。 つい先ほどまで萎れていた花が、水分を吸収できずに枯れかけて変色した花が、まだ花の咲かぬ蕾のまま腐りかけた花が、だんだんと生気を取り戻していく。 三十秒ほど続けた後、花は生けられた時のように、いや、野に生えるよりも活き活きとその花を咲かせた。 そして教室にふわりと風が舞う、実際には窓の閉められた教室で、魔法も使わずに風が起こるはずはない。 花から漂ってくる香りが、まるで風のように教室中に舞ったのだ。 それと同時に、シエスタの身体が光り輝いて見えた生徒も居たが、目の錯覚だと思い黙っていた。 「素晴らしい…」 ギトーが、呟いた。 ギトーの言葉は生徒達にとって意外なものだった。 何人かの生徒は、シエスタの魔法(波紋)を見て『それぐらい水のメイジなら誰だって出来る』と言おうとしたが、ギトーの言葉にそれを挫かれた。 「諸君、風は最強だ、すべての障難を吹き飛ばし、また風は偏在する」 そう言いながら杖でシエスタの席を指し、シエスタに自席に戻るよう促す。 「だが今の治癒を見て分かるとおり、治癒に適する水の魔法のようなことはできない、風は最強であるが故に攻撃に特化しているのだよ」 それから一時間、授業は皆の予想とは違う方向に進んだ。 相変わらず『風は最強だ』とか『風は何者にも負けない』と繰り返すが、それは攻撃手段としてのもの。 最強だからこそ、『傷』を癒す『水』のメイジを、風の系統が保護してやらねばならないと熱弁していた。 シエスタをからかってやろうと思っていた貴族は出鼻を挫かれたのだ。 不満そうに腕を組んで黙り込んでいたのを見ると、ギトーの言葉に驚いたが納得はしていない様子だ。 授業が終わると、興味を牽かれた生徒達から質問攻めにされ、シエスタはしどろもどろになりながら”波紋”について答えた。 オールド・オスマンから口止めされている部分もあるので、詳しく説明することは出来なかった。 しかし、水の魔法と違い生命を癒す能力に特化していると説明すると、特殊な治癒魔法の使い手として生徒達に受け入れられるのだった。 それには、ルイズの死が関係している。 微熱のキュルケ、風上のマリコルヌ、青銅のギーシュ、香水のモンモランシーは特にルイズのことを良く覚えていた。 常日頃馬鹿にしていた相手が、その失敗魔法が原因で死んだというある種のトラウマがあるのだ。 ルイズは爆発を起こすという特殊なケースだった。 今度のシエスタは、爆発ではなく癒しの力を使う。 ある者からは贖罪のためにシエスタを受け入れ、ある者からは癒し手としてシエスタを受け入れ、ある者は成り上がりの平民を嫌い、そしてタバサは……… 「……もしかしたら」 シエスタの”力”に、一つの可能性を期待していた。 魔法学院から馬で二時間ほどの距離にある、小さな池。 ルイズが死んだと言われている場所だが、オールド・オスマンが言うには、訓練に丁度良い場所らしいい。 シエスタはここで”波紋”の訓練をしろと言われていた。 ここにたどり着くまで、シエスタは馬と大差ない速度で走り続けていた。 そればかりか、途中で休憩すらしていない。 タルブ村にいた頃は、一日がかりで山菜を採りに行くこともあった。 重い荷物を遠くから運んでくることもあった、しかし、これほど長距離を休まず走り続けた事があっただろうか。 シエスタは、自分の身体の中に、不思議な力がわき上がってくるのを実感した。 一通りの訓練を終えて、夕焼けが射す頃に、シエスタは魔法学院に帰還した。 「失礼します」 「鍵はかかっとらんよ、入りなさい」 シエスタはオールド・オスマンに一日の様子を報告した。 訓練の内容、成果、それらを毎日報告しろと言われていたのだ。 今日はロングビルが休みのため、学院長室にはオールド・オスマンとシエスタの二人しかいない。 「よく分かった、やはり水の上に立つのはまだ無理かのう」 「はい…申し訳ありません…」 「……ついこの間まで平民として過ごしていたんじゃ、上達が遅いのは仕方ない。…しかし、こちらにも急がねばならぬ理由があるんじゃ」 「理由、ですか?」 オールド・オスマンは、懐から一冊の本を取り出した。 それは土くれのフーケに盗まれ、ロングビルが持ち帰った『太陽の書』だった。 「それは、この間の本ですね」 「うむ、いいかねミス・シエスタ、これから言うことを誰にも言ってはならんぞ」 「…はい」 オスマンがディティクトマジックを唱え、次にサイレントの魔法を唱える。 」 「君がタルブ村から持ってきた、ひいお爺さんの日記は読ませて貰ったんじゃが…ワシには全部は読めん。この『太陽の書』と同じ、異国の文字で書かれておるようでのう」 「はい、その本も、日記も、ひいお爺さんの生まれた国の文字で書かれてるそうです」 「そうじゃろう、そうじゃろう。そして君はその文字を教わっている…と。」 オールド・オスマンは『太陽の書』のあるページを開き、それをシエスタに見せた。 「このページを読んでみなさい、君なら読めるはずじゃよ」 「はい。えーと…」 『この仮面は人間を吸血鬼に変身させ…』 学院長室に、シエスタの音読する声だけが響く。 しかし、シエスタの声はだんだん小さくなっていき、一ページ読み終わる頃には顔が青ざめていた。 「吸血鬼って、怖いんですね…本当にひいお婆ちゃんが、こんな吸血鬼と戦っていたんでしょうか」 「………ショックを受けるのはまだ早いぞ、これを見たまえ」 オールド・オスマンが差し出したのは小さな箱、中には復元された『石仮面』が入っている。 「これって、この本に書かれている『石仮面』ですか?」 「本物は唇と顎の部分じゃ、他は全部復元した物であって、人間を吸血鬼にしてしまうような効果はないわい」 「そうなんですか…でも、これが存在するという事は、吸血鬼が存在するって事…ですよね」 「まあ、そういう事になるじゃろうな」 「それじゃあ、私は、この石仮面で吸血鬼になった人を……退治するために魔法学院に入学させられたんですか」 オスマンは無言で頷いた。 「無理に、とは言わん、だが、人間と吸血鬼を区別できる魔法など、存在しないんじゃよ。その”波紋”意外にはのう」 「……わかりました、やります、私、自分にできることをします」 「ルイズ様が仰っていました、貴族は貴族の、平民には平民の、一芸に秀でた物には一芸に秀でた物としての役割があるって…ですから、私、精一杯やってみます」 オスマンはにっこりと微笑んだ。 しかし、微笑みの仮面の裏に、途方もない罪悪感があることを、シエスタは知らない。 To Be Continued → 17< 目次